khtatuのTV&映画ブログ

TVドラマ感想他

浮世の画家

物語の舞台は終戦から数年過ぎた日本。主人公は高名な初老の画家。
焼け跡から徐々に復興の姿を見せていく街で、隠居老人の一見平和な日常生活が描かれていく。
愛すべき孫の訪問、なじみの飲み屋のママとの世間話、戦前からの旧友との邂逅(かいこう)…。
あるとき娘の縁談が持ち上がり、そこから周囲の視線の変化に気づき始める…。
確固たる決意で国のために尽くしてきた自分が、何故非難されなければならないのか。
その一方で、過去の影に滑稽なほどおびえる自分の弱さも認識していく…。
(以上NHKホームページより)

太平洋戦争を経験した初老の画家。戦争中は当時の雰囲気にのまれたのか、あるいは指示した画家の生き方にに疑問を感じ、戦争を賛美するような画風に変わってしまう。そして自身の弟子が自分の画風に染まらないのを疑問に感じ当時の画家の協会に説得してもらうように話すがそれが当局に弟子を売ることになってしまう。拷問を受け足を怪我し、絵を焼かれてしまった弟子は初老の画家を恨むようになる。予想外の成り行きに驚愕する画家だった。
そして戦後、世間の考え方はすっかり変わってしまい、自身の次女の縁談にも戦時中の画家自身の生き方が影響したのではと同時に結婚している長女の心配もあって悩む。

ドラマの流れで画家の戦時中の生き方がわかってくるのだが、戦後になっても完全には自身の生き方を完全に変えることはできなかった画家の苦悩、なんだか微妙なのだがこういう考え方の人がまだ多いのだろうか。戦後生まれの私にはもう一つ理解ができない。
すべて反省し考え方を変えることが自分がなくなるような気がするのだろうか。改めて戦時中の思想を好戦的な方向へもっていこうとする当時の政治の動きが一般市民にも強い影響を与えているのか、恐怖を感じさせる。

あえて主人公の考え方を否定的に描いていないのが濃い。やはり現在は英国在住のカズオ・イシグロさんの作品ということか客観的に当時の日本人の気持ちを描いているのだろうか。